トリクルダウンって何?アベノミクス…実感なき景気回復!
2018年末、政府が、とある発表を行いました。
「2012年12月から始まった景気拡大局面(いわゆるアベノミクス)が、いざなぎ景気(1965年~1970年)を超え、戦後2番目の記録となった。」
残すところは、戦後最長記録となる、「いざなみ景気(2002年~2009年)超え」だけとなったそうです。
ただ、これも時間の問題だと言えるでしょう。
このように、アベノミクスによる景気回復は、メジャーリーガーのイチローばりに記録を刻み続けています。
しかし、なぜか、国民には全く実感がありません。
この不思議な感覚は、一体なんなのでしょうか?
アベノミクスとは?
ご存知、安倍首相が推進する経済政策であるアベノミクスは、大企業を刺激し、景気全体を底上げするものです。
結果、円安が進み、日経平均株価は上昇し、大企業の業績が潤ってきていることは事実です。
雇用市場も活況で、大学生の就職活動も、完全に売り手市場(学生が会社を選択できる状態)となっています。
私は、大企業向けのコンサルティングをしています。
コンサルティング業界でも、クライアントとなる一部の大企業は完全にバブル状態であり、コンサルティングの仕事が途絶える気配はありません。
大規模なシステム投資がどんどん行われています。
ここ10年間、ほとんどの大手コンサルティング会社は、増収増益が続いていることでしょう。
株式投資についても、特にテクニックを駆使しなくても、大企業の株を保有しているだけで、そこそこ評価益がでるようになっています。
こういった意味で、アベノミクスには、ある意味、効果がでているのでしょう。
国民にとって景気回復の実感はなし
記録の上では、アベノミクスにより、大企業が潤ってきています。
しかし、国民にアンケートをとると、約8割の人が、次のように回答しています。
・アベノミクスの恩恵は受けていない
・景気が回復しているとは思えない
・生活は苦しいままである
個人消費は冷え込んでいます。
それはそうです。お父さん(お母さん)の給料がちっとも上がっていないのですから…。
厳密に言えば、会社員が10人いたら、このうち、給料が上がっているのは1人か2人くらいでしょう。
しかも、消費税は上がるし、社会保険料は高くなるし、個人の消費は冷え込むばかりです。
トリクルダウンとは?
大企業やお金持ちが、内部留保や貯金をやめて、給料を上げてくれれば、経済は活性化し、中小企業や個人にお金が回ってきます。
こうなってくると、国民にも景気回復の実感がでてくるはずです。
ここで、ひとつ、次の言葉を覚えておきましょう。
「トリクルダウン」
聞いたことがある人もいるかもしれませんが、アベノミクスを語る上では、避けて通れない言葉になります。
トリクルダウンとは、簡単に言えば、次のような意味になります。
「富裕層や大企業を豊かにすると、富が国民全体にしたたり落ち、経済は成長していく。」
ただし、これは経済学の仮説であり、誰かが実験して成功した事例ではありません。
別の言い方をすると、トリクルダウンとは
「富裕層や大企業で増加した所得が、国民に対して、再投資される」
こととも言えます。
アベノミクスが富裕層や大企業向けの政策だとします。
この場合、多くの国民や中小企業に対しては、このトリクルダウンが成功しないと、本当の意味での景気回復の実感は湧いてこないことになります。
しかし、安倍首相をはじめ、アベノミクスを推進する人たちは(アベノミクスでの景気回復はアピールしていますが)このトリクルダウンに関しては、
「言った覚えはない」
「知らない」
など、距離を置いた発言をしています。
これが、実感なき景気回復の本質なんでしょうね。
まとめ
このように、アベノミクスやトリクルダウンは、絶対的な理論でも学説でもありません。
誰も先行きは見通せない状況です。
このため、景気対策に過度の期待をすることは、ある意味、リスクであるとも言えます。
私は、よく分からない政府の政策に振り回されるのではなく、自分の家計は自分で防衛していくスキルを身につけておくことが重要だと考えています。
会社員の人で、給料が上がらないのであれば、リスクヘッジの意味で
・副業を始める
・節税の意識をもつ
ことも必要になってきます。
何もしないことがリスクとなりつつある世の中、あなたも、景気の状況に左右されない「強い自分」になってみませんか?