あなたの認識、合ってますか?ハイリスク・ハイリターンの誤解!
私(1級FP技能士、証券外務員1種)が本記事を書いているのが、2022年3月。
時代は明治でも昭和でもなく、令和です。
ありえないことに、大国ロシアがウクライナに戦争を仕掛けています。
新型コロナ(オミクロン株)の影響もなかなか消えません。
このような社会事情もあり、物価上昇、株価下落などが不安視されています。
貯蓄から投資とはいったものの、投資家は先行き不安な状況になっているのではないでしょうか。
その一環で、先日、ある知人から投資に関する相談を受けました。
相談の中で、少々、気になることがありましたので、一般化した上で共有させていただきたいと思います。
ハイリスク・ハイリターンの誤解
私のところに相談にやってきた知人は、投資の初心者でした。
定期預金していた貯金を投資に回して、不労所得を作りたいとのこと。
よくある話です。
彼は30代で、まだ若いということもあり、ハイリスク・ハイリターンの商品でがっつりと儲けたいとのこと。
若いうちにリスクをとり、歳を重ねていくにつれて安全商品に切り替えていく。
考え方としては定石ですが、話を聞いているうちに、私の中ではひとつ疑問がわいてきました。
ハイリスク・ハイリターン。
ローリスク・ローリターン。
よく聞く言葉ですよね。
ただ、彼の言葉を借りると…
”リスクの高い商品はリターンも高い”
ん?
言葉通りに訳したのかもしれませんが、正確ではないような気がします。
というか、明らかな誤解だと思います。
ハイリスクなものが、ハイリターンであるとは限らないためです。
私は彼に次のような話をしました。
ハイリスク・ハイリターンの本来の意味
リスクというのは、直訳すると
「危険」
となるのかもしれません。
ただ、投資の世界においては、意味合いが異なります。
投資の世界におけるリスクとは
「ブレ幅が大きい」
「不確実性が高い」
という意味になります。
ブレ幅というのは、波のブレ幅のことですが、
簡単に言えば、儲かる場合と損する場合の差のことを指しています。
投資の世界におけるハイリスクとは
”儲かるか損するか分からないけど、その差は大きくブレる状況にある”
ということになります。
統計的・数学的には、分散・標準偏差が大きいことを指しています。
つまり、ハイリスクだからといって、ハイリターンになるとは限らないわけです。
「たくさんリスクをとることで、たくさんの儲けを手にすることができる」
このような誤った認識が広まっていることに不安を感じました。
高いリターンを手にしたいのであれば、リスクは高くなるというのであれば正解です。
大きく儲けたいのであれば、大きな損も覚悟しなければならないという当たり前の話です。
長期投資・分散投資のマジック
同様に、ローリスク・ローリターンの意味を考えてみると…
”リターンの低いものはリスクも低い”
ではなく、
”低いリスクのものは、低いリターンしかもたらさない”
ということになります。
多くの投資家は次のような発言をしています。
長期投資・分散投資・積立投資こそが最強!
もちろん、私も同様の考えを持っています。
長期で分散すると、さまざまな要素が複合・合算されるため、ブレ幅が小さくなるのです。
投資の世界でいえば、リスクが小さくなるのです。
ということは、多くのケースにおいて、低いリターンしかもたらさないということになります。
簡単にすぐに儲かるような話ではない点に注意しなければなりません。
ましてや、不労所得となり、すぐにFIREできるものでもありません。
じっくりと時間をかけて、資産を育てていくイメージになります。
投資の世界には、さまざまな考え方があります。
ただ、投資の世界に、唯一無二の正解はありません。
・経済評論家も、市況を読み間違えることがあります
・米国株を中心にFIREして情報発信している人も、長期的に上昇相場だからたまたま儲かっていると見ることもできます
・物価が上昇しても、給料が上がるとも限りません
私自身、金・プラチナの長期投資(10年規模)でプラス収支となっています。
ただ、私のテクニカルスキルが優れているかといえば、全くそのように思っていません。
長期で少しずつ積み立てておけば、市況の凹凸が相殺され、小さい利益を手にすることができるという思想を持ち続けているにすぎません。
現時点において、たまたまプラス収支となっているに過ぎません。
私が投資を始める上で重要だと思っていることは…
(個々人のおかれている環境や年齢によるものかもしれませんが…)
誰かのいいなりになることではなく、自分の頭で考え、許容できるリスク(ブレ幅)を明確にしておくことだと思います。
冒頭のような不安定・不確実性の高い相場では、なおさらです。
納得いくまで、自分の頭で考えた結果、仕組み化できたのであれば、あとは、長期的に資産を育み続けるとよいでしょう。
短期的な変動は気にしないような鈍感力も必要となってくると思われます。
時間を味方につけて、安定した資産形成をしていきましょう!