ここだけ押さえよう…主婦の社会進出を妨げる年収の4つの壁!
「年収がXXX円を超えると、損をするから、働くのをセーブする…」
パートで働く主婦の間で、よく聞くセリフです。
これらは、もともと、ややこしい制度になっているにもかかわらず、法改正が絡んできましたので、さらにわけがわからなくなってきています。
今回は、この「XXX円の壁」について見ていきたいと思います。
「XXX円の壁」の概要
この分野は、まともに説明すると1冊の本になってしまいます。
そこで、今回は、ポイントを大幅に絞りたいと思います。
2018年以降は、次の4つだけを、確実に、覚えておきましょう。
【1】100万円の壁
【2】103万円の壁
【3】130万円の壁
【4】150万円の壁
実は、これ以外にも、さまざまな数字があるのですが、ややこしくなるので、上記の4つだけでまずは十分です。
順番に解説していきます。
【1】100万円の壁とは?
まずは、「100万円の壁」を見ていくことにしましょう。
主婦の給料やパートの収入が100万円を超えると、配偶者自身に住民税が発生することになります。
住民税の場合、基礎控除は35万円となり、給与所得控除の65万円と合わせて、100万円の控除枠があります。
つまり、100万円の収入があっても、100万円が控除されるので、住民税は0になるのです。
収入が100万円を超えてしまうと、一律10%の住民税がかかってしまいます。
ちなみに、主婦がパートや給料ではなく、自営業の場合は、給与所得控除がありませんので、35万円が住民税の壁となります。
【2】103万円の壁とは?
次に、「103万円の壁」について、見ていきましょう。
主婦の給料やパートの収入が103万円を超えると、配偶者自身に所得税が発生することになります。
所得税の場合、基礎控除は38万円となり、給与所得控除の65万円と合わせて、103万円の控除枠があります。
つまり、103万円の収入があっても、103万円が控除されるので、所得税は0になるのです。
収入が103万円を超えてしまうと、段階的に税率は増えていきますが、パート収入程度だと、所得税率は5%が適用されることが多いです。
【3】130万円の壁とは?
次に、「130万円の壁」について、見ていきましょう。
これは結構大きい壁ですね。
専業主婦やパート主婦の人は、夫の会社の健康保険に第3号被保険者として加入しているケースが多いと思います。
しかし、主婦の収入が130万円を超えると、夫の扶養から外れて、自分自身が独立して社会保険に加入する必要があります。
主婦の勤務先の規模によっては、130万円の壁が106万円の壁になるケースもあります。
社会保険には、国民健康保険と国民年金保険があります。
国民健康保険料は月額3000円程度、国民年金保険料は、月17000円程度なので、この壁を突破してしまうと、手取りにして、年間24万円が消えてしまうことになります。
【4】150万円の壁とは?
これまでに見てきた100万円の壁、103万円の壁、130万円の壁は、主婦自身の所得に関するものでした。
しかし、次に紹介する「150万円の壁」は、夫(世帯主)の所得に関するものになります。
答を言えば「配偶者控除の壁」になります。
2017年までは、103万円の壁でしたが、法改正により、150万円の壁に引き上げられました。
主婦(配偶者)の給与収入が150万円以下であれば、夫(世帯主)は38万円の所得控除を受けることができるというものです。
配偶者控除は、
「夫婦のどちらかの収入が低ければ、収入が高いほうの税金を安くしますよ」
という制度です。
”低いほうの収入が上がると、家庭全体では損をする仕組みになっているため、女性が仕事をセーブする原因になっている”
とずっと問題視されてきました。
そこで、2018年からは、壁の上限を上げることで、もっと女性に働いてもらいたいと法改正されたのです。
ただし、夫(世帯主)の給与収入が1220万円を超えると、配偶者控除を受けることはできません。
国の方針としては、配偶者控除の見直し(壁の緩和)によって、女性の社会進出を進めたいのでしょうが、当面は難しいでしょうね。
・社会保険の壁(130万円)が大きい
・女性が働ける環境整備がまだ甘い(待機児童など)
・働き方や生産性の改革が進んでいない
これらがすべて改善しないと、女性の社会進出の起爆剤とはならないのではないかと、個人的には思っています。
まとめ
主婦の「XXX円の壁」の話をまとめます。
【1】100万円の壁=超えると自分に住民税がかかる
【2】103万円の壁=超えると自分に所得税がかかる
【3】130万円の壁=超えると自分が社会保険料を払うことになる
【4】150万円の壁=超えると夫(世帯主)の配偶者控除がなくなる
ややこしいですよね。
まずは、この4つだけでも、確実に押さえていただければと思います。