会社を辞めたコンサルタントが独立した時の仕事の見つけ方・働き方
私はフリーランスのコンサルタントです。
昔はコンサルティング会社に勤務していましたが、現在は、独立・起業して活動しています。
ご存知の通り、近年、コンサルティング会社は、外資系金融や商社を凌駕するほどの人気職種になってきました。
このため、私が独立・起業したと言うと、周囲からはかなりの興味を持たれます。
”そんないい会社をなぜ辞めたの?”
たしかに、そう感じるのは自然ですよね。
そして、会社を辞めて独立した場合、具体的に、どのように仕事を獲得するのかという点についても、興味あるところだと思います。
今回は、そのあたりのことを書いてみたいと思います。
大手コンサルティング会社の契約・商流について
まず、コンサルティングの仕事について、一般的な商流を紹介します。
人気企業として名を馳せている大手コンサルティング会社の顧客の多くは、一部上場の大企業です。
巨大なシステム投資や、重要な戦略策定について、大企業は、まず、この大手コンサルティング会社に声をかけます。
そして、ニーズがマッチすれば、契約に至ります。
大企業向けのプロジェクトで、コンサルタント1名だけで仕事をすることはほとんどありません。
通常は、コンサルタント4名を3ヶ月でいくら…
みたいな契約となります。
計算を簡略化するため、コンサルタント1名の月額単価(売価)を250万円だと仮定しましょう。
すると、1人1ヶ月あたり、250万円の報酬が、大手コンサルティング会社に入ってくることになります。
しかし、実際に大手コンサルティング会社で勤務しているコンサルタントは、月250万円の給料はもらっていません。
月単価250万円のコンサルタントであれば、月50万円(年収600万円)とか月60万円(年収720万円)あたりが相場でしょう。(若手をイメージしています。)
この差額は、コンサルティング会社に備蓄され、経営層や内勤の給料、内部留保として充当されます。
その代わり、働いているコンサルタントは上司からいろいろ教えてもらえますし、給料が滞ることはありません。
フリーランスの契約・商流について
次にフリーランスのコンサルタントが、どのような契約になっているのかを見ていきましょう。
先ほどの例で、大手コンサルティング会社は、大企業から月250万円をもらっていました。
フリーランスのコンサルタントも同じような契約をして月250万円をもらうことは可能なのでしょうか。
一概には言えませんが、大企業がフリーランスのコンサルタントと直接契約することは少ないと思われます。
個人事業など、規模が小さすぎると、大企業に銀行口座すら登録してもらえないのです。
そこで、フリーランスのコンサルタントは、大手コンサルティング会社と手を結びます。
そして、大手コンサルティング会社の一員(下請け)として、大企業の支援をすることになるのです。
契約上は、業務委託契約(準委任契約)となります。
この場合、大手コンサルティング会社は、フリーランスのコンサルタントと月200万円の契約をします。
大手コンサルティング会社は、最終顧客である大企業から月250万円をもらい、下請けのフリーランスのコンサルタントに月200万円を支払うのです。
物品の販売と仕入に近いですよね。
大手コンサルティング会社は、この差額50万円(この例では20%)をマージンとして受け取ります。
大手コンサルティング会社からすると、これは儲けであり、管理工数でもあります。
フリーランスのコンサルタントからすると、中抜きに見えますが、営業サポートや何か発生した場合のリスクヘッジになっています。
つまり、フリーランスのコンサルタントは月200万円を手にすることになります。
多いように見えますが、契約が終わると、収入は途端に0となります。
契約期間中に、多すぎるくらいもらっておく必要があることは言うまでもありません。
エージェント経由の契約・商流について
フリーランスのコンサルタントは、最終顧客である大企業と直接契約することは難しいことは先に述べました。
このため、大手コンサルティング会社を通して、大企業の支援をすることになることも先に述べました。
ただ、大手コンサルティング会社とのパイプ・人脈がない場合、どうすればいいのでしょう。
ここで登場するのが、案件と人材をマッチングする役割を担うエージェントです。
フリーランスのコンサルタントに代わって、エージェントは案件を見つけてきてくれます。
大手コンサルティング会社から見ると、エージェントを使って、必要な人材を見つけることになります。
エージェントは、インターネット上で会員登録した後、何回か面接を受けると、マッチング対象者となることができます。
このとき、好きな仕事や希望報酬などの諸条件を、きちんとエージェントに伝えておくことが重要です。
エージェント経由で仕事をする場合、お金の話はどうなるのでしょう。
最終顧客が大手コンサルティング会社に支払うお金が、月250万円。
大手コンサルティング会社がエージェントに支払うお金が、月200万円。
このとき、エージェントがフリーランスのコンサルタントに支払うお金は、だいたい月160万円くらいになります。
エージェントも月40万円(この例では20%)を中抜きし、営業マージンや管理バッファとしているのです。
このとき、フリーランスのコンサルタントの報酬は月160万円となります。
まとめ
コンサルティング会社に勤務すると、年間通じて、安定した給料が月50万円とか月60万円はいってきます。
大手コンサルティング会社と直接契約すると、契約期間中は、月200万円もらうことができます。
エージェント経由で仕事を探してくると、契約期間中は、月160万円もらうことができます。
こう見ると、コンサルタントとして独立して働く場合、大手コンサルティング会社とパイプがあることがいかに重要であるかが分かります。
ただ、エージェントは、フリーランスのコンサルタントのスキルをよく見てくれるので、ちょうどよい案件を紹介してくれます。
時期にもよりますが、DX・AI・SAP全盛期のこのご時世、登録するだけで、仕事はすぐにやってきます。
独立後は、まずエージェント経由での仕事を確実にこなし、大手コンサルティング会社とのパイプをじっくりと構築していくことが、案件獲得・収益向上への道だと言えるでしょう。
ちなみに、私の場合、転職経験が多く、大手コンサルティング会社とのパイプがもともとありましたので、エージェント経由よりも、大手コンサルティング会社からの直接契約のほうが圧倒的に多い状況となっています。
あまり公になっていないことを書きましたが、イメージわきましたでしょうか。