独立系コンサルタントから見たコンサルティング業界の今後の見通し!
現在、コンサルティング業界は、とても人気のある業界だと言われています。
私がコンサルタントになった20年ほど前、コンサルティング業界は、知る人ぞ知るような小さな業界でした。
しかし、近年は、東大・京大などの有名大学の多くの卒業生が就職希望するようになりました。
実際、コンサルティング会社の視点から見ても、コンサルティングに興味を持つ学生が非常に多いことを感じています。
しかし、私は、ここに現在のコンサルティング業界の落とし穴があると見ています。
この点について、簡単に見ていきたいと思います。
活況なコンサルティング業界
私は、複数のコンサルティング会社を経て、現在はフリーランスのコンサルタントをしています。
私が転職を繰り返した複数のコンサルティング会社の多くは、現在、就職人気ランキングで上位に名を連ねています。
このため、今では、客観的な立場で現場を見ることのできる状況にいます。
たしかに、今のコンサルティング業界は、活況そのものです。
仕事も多く、大企業相手のコンサルティング会社の多くは黒字が続いていることでしょう。
アベノミクス(スガノミクス?)の影響で、大企業であるクライアントに投資可能なお金がありますから…。
中小企業や個人には何の恩恵も感じませんが…。
逆に、仕事が多すぎて、コンサルタントが不足しているのが実態だと言えるでしょう。
コロナ禍により、多少のダメージは受けたコンサルティング会社もあるようですが…。
ただ、
・英語や中国語ができる
・システム導入経験がある
・論理的な思考ができる
・データ分析ができる
・リーダーシップがある
・ヒューマンスキルが高い
…ような人は、即採用だと思われます。
そんなスーパーマンのような若手はなかなかいませんが…。
ただ、仕事の量に比べて、コンサルタントが少ない状況は続いています。
そこで、コンサルティング会社の多くは、採用の枠を広げようとしています。
で、実際に広げた結果…
何も知らない若手がクライアントに出向くことも多く、中間管理職(コンサルティング業界ではマネージャーという職位が該当します)に、しわ寄せがきているという状況になりつつあるのです。
コンサルティング業界の実態
一般的に、コンサルティング業界は給与水準がとても高いです。
年功序列制度を早期に破壊した代表的な業界でもあります。
実際、優秀な人(というか、クライアントのためにパフォーマンスを出し、結果を残した人)は20代でも年収1000万に到達します。
給与水準が高いということは、クライアントに請求する金額も高く、期待値も非常に高くなります。
若手であったとしても、経営層と財務分析や投資判断などの助言をしなければなりません。
システムを知らなくても、業務のパターンを洗い出し、テストシナリオやテストケースを策定しなければなりません。
やりがいはありますが、非常にプレッシャーもかかる仕事です。
昔であれば、若手は徹夜でもして、このプレッシャーに耐えてきたのが実態です。
しかし、働き方改革が叫ばれる昨今、徹夜などはもちろんできなくなっています。
急速に採用した若手が成長するための土台・基盤が確立できない状況なのです。
にもかかわらず、クライアントには高い単価を請求します。
このため、クライアントからの視線は非常に厳しいものとなります。
その結果、上司であるマネージャー層(中間管理職)にしわ寄せがきているという状況なのです。
若手ができない仕事をカバーしつつ、プロジェクト全体の品質自体は維持・管理していかなければならないためです。
業界のエージェントや複数のコンサルティング会社のメンバーからも似たような話をよく聞きます。
コンサルティング市場が拡大する一方、若手への門戸を急速に広げているため、サービス品質が低下しつつあるのです。
それをカバーしているのが、実際に若手を指導するマネージャー層だというのが実態だと思われます。
私は、フリーランスのコンサルタント(マネージャー実務経験者)として、このあたりをサポートさせていただいています。
今後もコンサルティング業界や、クライアントが、お互いに幸せになるように、支援を続けていきたいと思っています。
コンサルティング業界の今後
業界標準となっている巨大な基幹システムの入れ替え期限である2027年くらいまでは、コンサルティング業界の活況は続くでしょう。
細かい話をすれば、IT系のコンサルティングは安泰ですが、IT導入に関わらない戦略系だけでのコンサルティングは厳しいかもしれませんね。
AIやIoTといった流行りのテクノロジーについては、現在、検証中の会社がとても多いです。
今後、実用化され、仕組みとして会社に浸透していくものと思われます。
このため、ここ数年の間に限っては、コンサルティング業界は景気のいい状態が続くと私は見ています。
しかし、この状態がずっと続くとは限りません。
今でこそ、コンサルティング業界は人気の業界です。
しかし、リーマンショック後などの一定時期などは、本当に仕事がとれない時期もありました。(クライアントである大企業が投資を控えていたためです。)
今回もコロナ禍によって、状況がどのように変わるか読めない状況です。
景気の変化とともに、私などのフリーランスは真っ先に仕事を失うことになるでしょう。
このため、コンサルティング業界に興味のある人や、現在コンサルタントである人は…
業界にまどわされることなく、クライアント(市場)のニーズを常に意識し、知識やスキルを常にブラッシュアップし続けることが重要です。
大量採用の先にあるのは、自然淘汰です。
どんな時代でも力を発揮できるように、日々研鑽を重ねる人が増えることを期待しています。