起業・法人化のメリット…会社と個人、2つの財布を使い分けよう!
2年ほど前、私は、会社員をやめ、フリーランスになりました。
いわゆる”脱サラ”です。
正直なところ、私はフリーランスになってよかったと思っています。
しかし、すべての人がフリーランスになるほうがいいのかと言えば…
答は”NO”です。
各人の置かれている状況によって、進むべき道は異なると思っているからです。
その点を踏まえた上で、今回は、お金のテーマのうち、財布の話をしていきたいと思います。
「会社員のサイフ」と「フリーランスのサイフ」は全く別物なのです。
会社員のサイフ
会社員時代、私のサイフはひとつだけでした。
お札入れの長財布と小銭入れの2つに分けている人もいるかもしれません。
しかし、
”自分のお金を入れるところ”
という意味では、論理的に、ひとつのサイフと捉えることができます。
では、あなたの持っているこのサイフ、一体どこからお金を調達していますか?
簡単ですよね。
ほぼ全員が同じ答えだと思います。
会社からもらう給料やボーナスです。
副業をしている人もいるかもしれませんが、あなたのサイフに入ってくるお金の大半は会社からの給与振込によるものだと思います。
もちろん、私もそうでした。
毎月、決まった日に給料は入ってきますが、毎月、給料の金額はほとんど変わらないのではないかと思います。
昇進したり、評価の良し悪しで、ボーナスを多めにもらう月もあるかもしれませんが、大きく増減することはないはずです。
税金や社会保険料も、きっちりと差し引かれた残額が振り込まれていることでしょう。
つまり、あなたのサイフにはいってくるお金は、あなたがコントロールすることはできず、ほぼ定額になっているはずです。
では、財布からでていくお金はどうでしょうか?
住居費(家賃・ローン)、教育費、生活費、生命保険料、携帯電話代、飲み会代、自動車維持費、趣味費用…。
いろいろあると思いますが、すべてあなたの財布からお金が出たら戻ってくることはありません。
つまり、当たり前ですが、自腹ですべての費用を支払っているのです。
会社員のサイフは、
「入ってくるお金はコントロールできず、出て行くお金はすべて自腹」
だったのです。
フリーランスのサイフ
フリーランス、特に、法人を設立しているフリーランスのサイフを見ていきましょう。
フリーランスのサイフは2つあります。
といっても、お札入れの長財布と小銭入れの2つではありません。
法人用のサイフと個人用のサイフの2つです。
会社員の人から見ると、この点が少し分かりにくいのではないかと思います。
まず、法人用のサイフから見ていきましょう。
フリーランスになると、仕事で得た報酬は法人用の口座に振り込まれます。
これがいわゆる「売上」です。
売上が多いと、法人のサイフは潤います。
ただ、法人のサイフが大きくなりすぎると、その金額に応じて、税金(法人税)を支払わなければなりません。
そこで、毎月、法人のサイフから、個人のサイフに報酬(給料)を支払うのです。
あなただけでなく、奥さんや家族・親族を社員にして、分散して給料を支払うことも可能です。
たくさん給料を支払いすぎると、個人のサイフは潤いますが、その分、個人用の税金(所得税)が大きくなります。
少ししか給料を支払わないと、法人のサイフにお金がたくさん残ることになりますので、法人税が高くなります。
面白いですよね。
役員報酬の金額によって、2つのサイフをコントロールすることができるのです。
また、支払いの観点でみると、次のようなことも可能になります。
会社員時代、個人のサイフから出て行く出費としては次のようなものがありました。
住居費(家賃・ローン)、教育費、生活費、生命保険料、携帯電話代、飲み会代、自動車維持費、趣味費用…。
これらのうち、いくつかは法人のサイフから支払うことができるのです。
生命保険料や携帯電話代、自動車費用などは事業でも必要ですし、住居費も、自宅が事務所であれば、何割かは法人のサイフから支払うことも可能です。
つまり、法人のサイフを活用することで、個人のサイフから支払っていたものを減らすことができるのです。
なんでもかんでもというわけにはいきませんが、事業に関係しそうなものは、すべて法人のサイフから支払うようにできれば、法人税を安くすることができます。
つまり、法人のサイフは、
「入ってくるお金は売上であり、出て行くお金は役員報酬や経費でコントロール可能」
個人のサイフは、
「入ってくるお金は法人からの役員報酬でコントロール可能であり、出て行くお金も法人に支払ってもらうことで削減することが可能」
なのです。
まとめ
会社員は、税金を支払った後の残ったお金が、個人のサイフにはいってきます。(自分では何もコントロールすることができません。)
しかし、フリーランスは、税金を支払う前にモノを買うことができ(経費)、個人のサイフへのお金の移管(役員報酬・給与支給)も自由にコントロールすることが可能です。
この差は、とても大きいですね。
お金に対する考え方が、ガラッと変わります。
お金の管理をするのが苦手だったり、面倒だという人は会社員の仕組みのほうが楽かもしれません。
ただ、2つのサイフをコントロールすることによる、節税効果(もっと言うと、社会保険料の削減も含めて)は、かなりの金額になります。
きちんと売上のあがる見通しがついていれば、法人を作ることで、あなたの収益エンジンは加速していくことでしょう。
法人のサイフと個人のサイフ。
なんとなくイメージをつかめましたでしょうか?