妻が亡くなったときのお金の話…専業主婦に保険は必要なのか?
何年か前、男性会社員である知人が、次のようなことを言っていました。
「私は生命保険にたくさん加入しているので安心だけど、専業主婦の妻は保険に全く加入していないんだよ。大丈夫かなぁ。」
この知人は、何気なく発言したつもりだったのかもしれません。
しかし、この言葉の意味は、非常に重いものがあると私は感じました。
ファイナンシャル・プランナーとしても、相談の多い案件ですので、今回は「専業主婦の保険」について見ていきたいと思います。
専業主婦の保険
一般的に、生命保険というと、家庭の中で、お金を稼ぐ役割となっている夫にかけるイメージが非常に強いです。
実際、日本人は保険が大好きな傾向にあると言われています。
夫に十分すぎる生命保険をかけているケースが多いです。
ただ、専業主婦の妻に関しては、生命保険をかけていないケースがほとんどです。
就労収入のない専業主婦が亡くなっても、夫が経済的に困るわけではないから保険は不要だということなのだと思います。
しかし、この理屈は、少し危険だと思っています。
なぜなら、専業主婦の妻が亡くなっても、経済的に困るケースもあるからです。
具体的にイメージしてみましょう。
例えば、妻が亡くなって、夫と子供が残された場合、どのような生活になるでしょうか。
親元や親族が近くに住んでいる場合、おそらく、夫は子供を親元や親族に預けて面倒を見てもらうことになるでしょう。
この場合、子供と夫は離れて暮らすことになりますので、実質的には単身赴任状態になります。
生活費はダブルにかさんでくることになります。
親元や親族が近くにいない場合、夫と子供が一緒になって、親元や親族の家に引っ越すという手もあります。
この場合、夫の仕事に制約がでてきますので、転勤や転職が必要となり、大幅な年収ダウンも視野に入れないといけないかもしれません。
引っ越しの費用も確保しておく必要があります。
このように、頼りになる親元や親族がいる場合でも、お葬式代以外に、生活費用が増加する可能性があります。
親元に頼れない場合はもっと大変です。
子供が小学生など、自分で通学できる年齢だったとしても、夕食の支度に間に合う時間には帰宅しなければなりません。
このため、夫は会社の中での配置転換や、職種変更を余儀なくされるかもしれません。
帰宅後も家事をこなしつつ、子供の学校のイベントなども考えなくてはいけません。
仕事をしながら、夫はすべてをこなすことができるでしょうか?
家事代行サービスのようなものもありますが、言うまでもなく、お金がかかります。
各家庭によって、事情は異なるでしょう。
しかし、妻が亡くなった場合、妻の内助の功を具体的にイメージした上で、保険の判断をすることが重要だと思っています。
保険は本当に必要なのか?
保険というのは「まさか」の事態に、預貯金だけでは不足する金額をカバーするものです。
このため、お金持ちの人にとって、保険は不要なものとなります。
いざという事態には、自分の資産を切り崩せば対応可能なので、敢えて保険会社に保険料を支払う必要はありません。
日々の生活をギリギリの状態で暮らしている家庭こそ、保険は選択肢になってくるのです。
なお、個人的な意見になりますが、専業主婦は、死亡保障よりも医療保険のほうが重要となるケースが多いのではないかと考えています。
死亡保障が重要であることは、冒頭述べたとおりです。
しかし、日本では公的年金がとても充実しています。
妻が亡くなった場合、遺族基礎年金に頼ることができるようにもなりました。
問題は、妻が生きているけど、ケガや病気で家事をすることができないというケースです。
この場合は、年金は支払われないし、お金はかかるし、夫の仕事にも支障がでることになります。
掛け捨ての保険は、あまり人気がないと言われています。しかし、保険料は非常に安いです。
子供が小さい間だけでも、掛け捨ての医療保険に加入しておくのが望ましいのではないでしょうか。