不動産投資・取引の基礎知識「さん為」「中間省略登記」とは?
私は不動産投資家です。
関西圏にワンルームマンション8戸を保有して不動産投資をしています。
コロナ禍においても、居住用のマンション経営は安定そのものです。
このため、私は、個人・法人をうまく活用して、今後も不動産投資を拡大していこうと考えています。
不動産投資を展開していく中、避けて通れないのが、金融機関からの融資(ローン)です。
だいぶ昔の話になりますが、融資を活用して物件購入するときに次のように言われたことがあります。
「中間省略登記の物件は融資対象外です。」
「???」
当時、私はよく意味が分かりませんでした。
やはり、不動産については、知識を蓄えておくことが重要だと痛感した瞬間でした。
中間省略登記とは?
例として、次のようなケースを考えて見ましょう。
①Aさん(売主)が、Bさん(不動産業者)に不動産を売却する
②その後、Bさん(不動産業者)がCさん(買主)に不動産を売却する
ようは、Bさんが不動産を転売するケースですね。
この場合、通常「A→B→C」と売買が行われます。
このため「A→B」「B→C」と2段階で所有権が移るような手続き(登記)を行います。
これが大原則です。
しかし、Bさん(不動産業者)は保有ではなく、転売を目的としています。
Bさんを経由することで、Bさんには、不要な税金がかかってしまいます。(登録免許税・不動産取得税)
そこで「A→B→C」ではなく、「A→C」とダイレクトに名義変更するとBさんは売買費用を節約することができます。
このダイレクトに名義変更することを、文字通り「中間省略登記」といいます。
このような取引は、平成の中頃までは頻繁に行われていました。
しかし、法律が改正され、中間省略登記はできなくなってしまいました。
新・中間省略登記とは?
中間省略登記はできなくなりました。
しかし「第三者のためにする契約」というスキームを利用して、合法的にAからCへ所有権を移転させ、Bには税金をかからなくする方法が考え出されました。
これを「新・中間省略登記」「さん為契約」と呼んでいます。
詳細はややこしいので割愛しますが、簡単に言えば、
「AとBが売買するときに、”Cに対して不動産の所有権を移転する約束”をしていれば、CはAに対して、不動産の所有権を移転するように言うことができる」
というものです。
生命保険の契約にも少しだけ似ています。
・A:保険会社
・B:夫
・C:妻
この場合、AとBが保険の契約をしますが、Bが死亡したとき、受取人CはAに対して権利を主張することができますよね。
この新・中間省略登記の仕組みによって、合法的にAからCへ所有権を移転させ、Bには税金をかからなくすることができるようになりました。
Bにとっては、とても便利な制度のように見えますが、多少グレーな一面もあります。
CはBを通すことにより、割高な価格で購入することになるのです。
何年か前に発生した「かぼちゃの馬車」騒動。
これは「A→B→C→D→E…」のような、複雑な新・中間省略登記が行われていました。
間に多数の業者をはさむことにより、買主Eはかなり割高で価格で不動産を買うケースが横行していました。
しかも、長期のローンを簡単に組むことができたので、その結果、誰も喜ばない結末となってしまったのです。
まとめ
上記の例において、Bさんは不動産業者を指していましたが、これが金融機関だとしたらどうでしょう。
融資をさせるために、売主に高値で物件を売りつける…。
こんなことはあってはならないですよね。
違法ではないとはいえ、この中間省略登記に関しては、関わらない金融機関が多いです。
冒頭での私の例も同様で、私が購入しようとしていた物件は中間省略登記物件だったのです。
まともな銀行であれば、このようないかがわしい物件について、融資をしたくはないはずです。
未熟だった私(買主)の視点から見てもそうです。
融資を断られていなければ、ひょっとして割高な物件を買わされることになっていたのかもしれません。
以上のことから、次の点には、十分注意しておきたいということを学びました。
「中間省略登記物件は高値転売になりがち」
お金の話は知っていることがすべてです。
特に、不動産のような買主があまり情報を持ち合わせていないケースにおいてはなおさらです。
上記のようなスキームがあることも、きちんと理解した上で、安全な不動産取引をしていきたいと思います。