リテールマーケティング検定1級(1級販売士)の難易度(CBT)と資格取得体験記
今回は「リテールマーケティング検定1級(1級販売士)」という資格、および私の受験体験談を紹介します。
以前は「1級販売士」という名前でしたが、実務に照らし合わせて、名称がカタカナに変わりました。
販売だけの専門職ではないということなのでしょう。
特に、1級販売士試験はコンサルティングとしても活用できるものです。
また、中小企業診断士の試験範囲とも、かなり重なっています。
私は2000年頃からこの資格の存在は知っていました。
科目合格もしていましたが、実務の忙しさにかこつけて、なかなか受験に踏み切れませんでした。
しかし、フリーランスになって、少し時間ができたので、2022年になり、再受験を決意しました。
資格の概要
販売士試験は、1級から3級までの3つのクラスがあります。
3級は、売り場の販売員のレベルで、販売員としてもっとも需要な接客マナーや販売技術といった接客業務に関する知識をみる試験になります。
2級は、売り場の管理者クラスのレベルで、店舗管理に不可欠な従業員の育成や指導、仕入や在庫の管理といった知識をみる試験になります。
1級は、店長や経営者クラスを想定しており、トップマネジメント全般に関する商品計画や商品予算の策定、マーケティング政策の立案、人事・労務・財務管理といった知識をみる試験になっています。
なお、受験者は小売業従事者だけでなく、製造業や卸売業、サービス業、学生、コンサルタントなど多岐にわたっています。
今回、紹介する1級に関しては、経営に関する極めて高度な知識を身につけ、商品計画からマーケティング、経営計画の立案や財務予測等の経営管理について適切な判断ができる、マーケティングの責任者やコンサルタントとして戦略的に企業経営に関わる人材を目指しています。
ハンドブックも2021年に改訂されており、IoTの活用やインバウンド対応など、流通・小売業界が直面している大きな環境変化について学ぶことができます。
小売店経営における計数管理や経営分析、マーケットリサーチの手法なども試験範囲となっています。
試験科目は、次の5科目です。
1)小売業の類型
2)マーチャンダイジング
3)ストアオペレーション
4)マーケティング
5)販売・経営管理
2021年以降は、年1回の紙ベースの試験ではなくなっており、いつでも受験可能なCBT試験となっています。
それぞれの科目を100点満点とし、各科目70点以上で合格となります。
いつでも受験できる分、難易度は下がっているように見えます。
しかし、すべての科目で70点以上をとらないと最終合格になりませんので、紙ベースの試験と難易度はさほど変わらないと思います。(紙ベースの試験は合計350点で合格でした。)
資格の難易度(客観的)
では、この資格の難易度を見ていきたいと思います。
一般的に、資格というものは、その人の経験や背景によって、難易度が異なってきます。
法律関連の仕事をしている人は法律系の資格はとっつきやすいですし、IT関連の仕事をしている人はIT系の資格は容易に感じられます。
しかし、その人にとって、新規分野の資格だと、入門資格でも、かなりの難易度に感じられることでしょう。
そこで、私は、資格取得の難易度を、次の5段階に分けて評価することにしました。
【S】超難関資格
※資格を取得するまでに、3〜5年程度の期間を要するもの
弁護士、公認会計士、その他サムライ資格など
【A】難関資格
※資格を取得するまでに、1年程度の期間を要するもの
英検1級、簿記1級、XX1級など
【B】中堅資格
※資格を取得するまでに、6ヶ月程度の期間を要するもの
英検2級、簿記2級、XX2級など
【C】入門資格
※資格を取得するまでに、3ヶ月程度の期間を要するもの
英検3級、簿記3級、XX3級など
【D】簡易資格
※資格を取得するまでに、数週間程度の期間を要するもの
XX4級、その他在宅受験資格など
この基準に従うと、1級販売士試験の難易度は
【A】難関資格
に属しているのではないかと感じました。
実務経験やベース知識のない人であれば1年程度、そうでない方でも100時間程度はハンドブックを読み込む必要があると思います。
私の体験談(主観的)
私は、この試験を、2022年7月に受験しました。
1級販売士試験については、市販のテキストや問題集が皆無です。
特に、CBT試験になってからは、インターネットの情報も含めて、参考となるものはほぼありませんでした。
よって、多少のお金はかかりますが、カリアック社から出版されている販売士ハンドブックの一択でしょう。
このテキスト2冊(上巻・下巻)だけ読み込むことができれば合格は可能だと思います。(私もそうでした。)
1)小売業の類型
暗記科目です。ハンドブックの隅々まで読み込みましょう。そして、フランチャイズシステムや、スーパーやコンビニ、大型店の形態など、覚えたことは、日常生活でも役に立つことでしょう。
2)マーチャンダイジング
私は、本業でSCMのコンサルタントをしていましたので、この科目は、テキストを流し読みした程度でした。仕入、在庫、販売などの基本的な業務の流れを把握することができます。
3)ストアオペレーション
ここでは、実際に店舗を運営するときに必要な知識を学びます。実際に店舗で仕事をしている人にとっては、楽勝なのかもしれませんが、私は経験がなかったので、用語をひとつひとつ覚えるのに苦労しました。
4)マーケティング
中小企業診断士の「運営管理」という科目とかなり重複しています。ただ、単純比較すると、1級販売士試験のほうが深いような気がします。販売士は小売業界では、診断士以上に評価されることもあるという理由を垣間見ることができます。
5)販売・経営管理
従業員の評価方法や各種法律など、を学びます。財務分析も範囲ですが、これは小売業に関わらず、ビジネスマンであれば必須のスキルになるのではないでしょうか。
私は、2級販売士試験も3級販売士試験も一発合格することができました。
ただ、この1級販売士試験は大苦戦しました。
結果として、私は4回のCBT試験を受けることで合格することができました。
私は、以前の紙ベースの試験でも3科目合格していましたが、CBT試験のほうが、独特の難しさがあると感じました。
もともと1級試験の合格率は20%前後でした。
このため、4回で合格できた私は平均くらいになるのでしょうか…。
◆1回目:試験形式を理解するための記念受験
・小売業の類型(60点)
・マーチャンダイジング(65点)
・ストアオペレーション(65点)
・マーケティング(50点)
・販売・経営管理(55点)
※科目合格すらできず。
◆2回目:3科目合格を狙った試験
・小売業の類型(55点)
・マーチャンダイジング(80点)→科目合格
・ストアオペレーション(80点)→科目合格
・マーケティング(75点)→科目合格
・販売・経営管理(60点)
※予定通り3科目合格。
◆3回目:2科目合格を狙った試験
・小売業の類型(65点)
・販売・経営管理(75点)→科目合格
※想定外に1科目が残ってしまう。
◆4回目:最終合格を狙った試験
・小売業の類型(90点)→科目合格
※最後の最後で暗記しまくって全科目合格達成!
約2週間の間に4回受験しました。
まさに、試験のドミナント戦略です。
この試験、
「習うより慣れろ」
です。
お金(受験料)はかかりますが、パッパと受験するのが近道です。
具体的なことは書けませんが、受験してみると分かります。
各科目20問(10問は選択式、10問は記述式)出題されるので、14問正解する必要があります。
記述式は「・」なども含めて正確に記憶しておく必要があります。
電卓は持ち込み可能ですが、忘れていても手計算でなんとかなります。
何回か受験していると類似問題も出題されていることも分かります。
「受験→ハンドブック復習→受験→ハンドブック復習」
を繰り返すことで、確実に合格に近づくことのできる試験だと思います。
これで、私もようやく1級販売士の資格を取得することができました。
今後は、これをコンサルティング実務に活用していきたいと思います。