資格の最新事情…難易度が大きく変化しつつある4つの資格とは?
昔、苦労して取得したはずの資格。
そのまま放置していませんか?
更新が必要な資格であれば、スキルをブラッシュアップする機会はあるでしょう。
しかし、そうでない場合は、取得したきりになっている資格も多いのではないでしょうか。
個人のスキルであれば、日々、自己研鑽していけばいいと思います。
しかし、変化するはずのない資格そのものが、以前から変化してきているものもあります。
そのような資格に関する、最新事情をいくつか紹介していきたいと思います。
社会保険労務士
総務・人事系サラリーマンの代表人気資格である社会保険労務士。
もともと、取得難易度の非常に高い資格でしたが、最近は、さらに難易度が上昇してきています。
直近5年の社会保険労務士試験の合格率を見てみましょう。
2015年:2.6%(過去最低)
2016年:4.4%
2017年:6.8%
2018年:6.3%
2019年:6.6%
例年、8%前後の合格率を維持していましたが、直近5年の平均合格率は、6%程度になってきています。
公認会計士や弁護士をはじめとする「士業」資格は、国の政策に合格率が左右されると言われています。
その資格の人数が増えすぎると、合格率を減らしたり、ニーズが高まると、合格率を増やしたり、調整していると言われています。
そういう意味では、社会保険労務士は、ニーズに比べて、資格ホルダーが増えている状態なのかもしれません。
社会保険労務士試験は、すべての分野において、きちんと記憶できているかどうかを試す1年に1回のガチンコ勝負です。
一時的なものかもしれませんが、受験する人は、かなりの激戦を覚悟しておいたほうがよいでしょう。
日商簿記検定2級
経理部の人だけでなく、今や、ビジネスマンとして必須スキルとされている簿記。
その中でも、定番資格となっている日商簿記検定2級。
この資格を、だいぶ前に取得した人は、その難易度に驚くことになるのではないでしょうか。
ここ数年の試験の合格率の推移を見てみましょう。
・141回試験(2015年11月):11.8%
・142回試験(2016年02月):14.8%
・143回試験(2016年06月):25.8%
・144回試験(2016年11月):13.4%
・145回試験(2017年02月):25.0%
・146回試験(2017年06月):47.5%
・147回試験(2017年11月):21.2%
・148回試験(2018年02月):29.6%
・149回試験(2018年06月):15.6%
・150回試験(2018年11月):14.7%
・151回試験(2019年02月):12.7%
・152回試験(2019年06月):25.4%
昔は、日商簿記2級といえば、普通に勉強していれば、30%以上は合格する試験でした。
しかし、近年は10%~20%の合格率となっており、難易度が急激に増しています。
私の中では、簿記1.5級に変身したイメージです。
その原因のひとつとして、経理の実務に合わせて、試験範囲が見直されたことを挙げることができます。
今までは1級の範囲とされてきた、連結会計、税効果会計、外貨建取引などが2級の範囲となったのです。
難しい論点が増え、試験範囲が広がることで受験生の負担も、以前よりも上がっていることでしょう。
1級と2級の差が大きかったのもひとつの要因となっているのかもしれません。
「簿記2級」という世間のイメージは、少しずつ見直されていくものと思われます。
宅地建物取引士
サラリーマンの人気資格の代表である「宅建」。
2015年に旧名称「宅地建物取引主任者」から名称が変更され、「宅地建物取引士」になりました。
士業への格上げとも言われています。
不動産や金融の業界だけでなく、現在、問題化している過疎地の空き家や、オリンピック前後のマンション取引、大学の移転など、宅地建物取引士の活動の場は今後も増えていくことが予想されます。
全国的に求人もとても多いです。
今のところ、試験の合格率は15%前後ということで、それほど変化していませんが、問題自身は非常に難しくなっています。
過去問だけで対応できるイメージではなくなってきました。
「士業」ということで人気が急上昇し、今後、難易度は急上昇する可能性があるでしょう。
応用情報技術者
時代の移り変わりの激しいIT業界。
これほど、試験の範囲・内容を更新しなければならない資格は、他にないのではないでしょうか。
私が受験した20年前は「スマートフォン」、「ランサムウェア」、「ブロックチェーン」などの出題は考えられませんでした。
情報処理技術者試験全体を見ても、その役割の変化から、資格の名前が大幅に変化してきています。
・初級システムアドミニストレータ → ITパスポート
・第2種情報処理技術者 → 基本情報技術者
・第1種情報処理技術者 → ソフトウェア開発技術者 → 応用情報技術者
この中でも、IT専門家としての登竜門資格となっている応用情報技術者については、昔よりも難易度は低下してきていると思われます。
第1種情報処理技術者やソフトウェア開発技術者の試験は1年に1回だけでしたし、合格率も10%程度でした。
それが、応用情報技術者は1年に2回受験することができ、合格率も20%近くあります。
これも、応用情報技術者試験の上位資格である高度情報処理試験が充実してきたことがひとつの要因でしょう。
個人的な話で、かなり昔の話にはなりますが、高度情報処理試験の中に「プロダクションエンジニア」という資格がありました。
システムの内部設計(細かなところ)を問われる試験で、非常に難易度も高かった資格です。
私も一度だけ受験しましたが、あと数点といったギリギリのところで不合格となってしまいました。
とてもくやしい思いをしましたが、リベンジしたくても、もうこの資格自体は存在しません。
寂しい限りです。
まとめ
定番なので、あまり変化はないだろうと思われた4つの資格を見てきました。
しかし、よく見ていくと、どの資格も、時代の変化に合わせて、柔軟に対応していることがわかります。
いつまでも、昔の資格のイメージのままでいると、時代から取り残される日も近いのかもしれません。
今後、私自身、資格・スキル習得は怠らないように、継続的に行っていきたいと思います。