フリーランス活動において、会計事務所(税理士)は必要か?
私は、会社員を辞めてフリーランスとして活動しています。
そのため、会社員の方から、よく次の質問を受けます。
「フリーランスの人って顧問税理士とかつけてるの?」
先日も複数の知人から聞かれました。
この質問に対する回答は、事業規模や、その人の考え方によって、さまざまです。
そこで、今回は、簡単に、私の考えを述べてみたいと思います。
会社員に必要となる事務処理
まず、会社員の方の事務処理から見ていきたいと思います。
会社員の方は、毎月、給料が振り込まれています。
税金や社会保険料などの支払いはすべて源泉徴収として、事前に差し引かれています。
このため、普段は何もすることがないはずです。
あったとしても、出張など、仕事で必要な出費をしたときに、領収書を貼り付けて、経理部へ提出・承認依頼をするくらいだと思います。
そして、年末に、年末調整の書類を会社に提出すれば、すべて完了です。
ほとんどの会社員の方は以上です。
かなり医療費がかかったとか、マイホームを購入したケースでは、2月3月の時期に確定申告をすることもあります。
しかし、これも会社からもらった源泉徴収票を書き写し、医療費などの数字を追記するだけで簡単に完了します。
ようは、会社員の方は、会計に関する事務手続を意識する必要はほとんどなく、とても楽なのです。
フリーランスに必要となる事務処理
会社員を辞めてフリーランスになると、会計に関する事務手続をすべて自分でしなければなりません。
このとき、大きく分けて、次の2つのケースがあります。
①個人事業主として活動しているケース
②法人を立ち上げて活動しているケース
①個人事業主のケース
まず、①の個人事業主のケースから見ていきましょう。
この場合、個人として活動しているわけですから、年に1回、確定申告をすることで会計手続は完了します。
ただ、必要経費などは領収書を保管する必要があり、帳簿も自分でつけなければなりません。
(最近はクラウド上で、個人事業主用の会計ソフトがたくさんありますので、簿記を知らなくても使うことができます。)
定期的にもらえる給料という概念はなくなり、売上を立てて、早く入金することが目標となります。
この売上が事業収入となり、経費が差し引かれ、所得税・住民税・事業税などが計算されていくのです。
私の周囲の個人事業主の方々は、ほとんど自力で確定申告をしているような気がします。
しかし、私の場合、不動産投資、仮想通貨(暗号資産)、FXなど個人事業主として、さまざまな活動をしていました。
仕訳処理がとても複雑となっていました。
そこで、個人事業主の確定申告でも、会計事務所(税理士)に任せていました。
がんばれば自分で処理することもできました。
しかし、私は本業であるコンサルティング業に集中したかったのです。
ただ、シンプルな事業の場合、個人事業主の確定申告はそれほど難しくありません。
このため、できる限り、自力で行うことをオススメします。
②法人成りのケース
次に、②の法人成りをしているケースを見ていきましょう。
この場合、個人としての確定申告の他に、法人としての決算処理を行う必要があります。
法人の通信簿となる損益計算書や貸借対照表を作成するのです。
個人事業主は、個人としての所得税・住民税・事業税だけを決定すればいいだけでした。
しかし、法人化したとたんに、法人税も決定する必要があるのです。
結論から言いましょう。
このケースでは、会計事務所(税理士)に任せたほうがいいと思っています。
理由は下記3点です。
・法人の決算処理は個人の確定申告に比べて難しい
・一度、決算処理を理解しても、税制はコロコロ変わるので、改正についていくのが大変
・会計事務所(税理士)はその道のプロなので、自分のビジネスに合った節税などのノウハウを教えてもらえる
ここは意見が分かれるところだと思います。
税理士や簿記検定の勉強をしたことのある人にとっては、法人の決算書を作ることも可能です。
最新の会計ソフトでは、ボタンを押すだけで、決算書も作成してくれます。
私は1級ファイナンシャル・プランニング技能士で、簿記の知識も保有しているつもりです。
しかし…
最新の税制、仮想通貨(暗号資産)の処理、コロナ禍における損金算入の有無、LLPとの合わせ技、不動産投資…
など、とても一人でカバーしきれるものではありません。
この税制をすべて自分ひとりでカバーするとなると、本業が疎かになる可能性が高いです。(会計ミスも発生します。)
そこで、基本は、会計事務所(税理士)にお任せして、顧問料を支払うことにしています。
月1万円から3万円ほどの費用はかかりますが、会計処理のチェック料・授業料・相談料としては妥当な相場だと思っています。
おかげさまで、今までは知らなかった、さまざまな会計処理や裏技を習得することができています。
自分ですべてをこなすスーパーマンのような人もいますが、餅は餅屋です。
ランニングコストはかかりますが、間違った会計処理をしないためにも、法人成りした場合は、会計事務所(税理士)と契約することをオススメします。
あなた自身が、会計の実務スキルを身につけて成長することもできます。
私の場合、法人の処理も個人の処理も、会計事務所(税理士)に任せています。
法人のサイフと個人のサイフの両方を考えないといけないので、複雑なんですよね…。
しかし、
”法人の決算処理だけ会計事務所(税理士)に任せ、個人の確定申告は自力でする”
というのが多数派だと思います。
あなたのビジネス規模に合わせて、最良の選択をしていただきたいと思います。