新型コロナウイルス不況の脅威!お金は一体どこへ消えたのか?
本記事を書いているのは2020年4月。
新型コロナウイルスにより、世界全体が大混乱になっています。
日本では、1日当たりの感染者数が700名を超えたくらいの状況になっています。
感染拡大を防止させたい一方、社会活動の自粛による経済危機が笑えないレベルに達しています。
リーマン・ショック以上の大恐慌になることは間違いないでしょう。
そんな中、先日、ある知人から次のような質問を受けました。
「コロナ不況で、みんなお金に困っているけど、一体、お金はどこに消えてるの?」
素直な質問に見えますが、経済学の本質をついた鋭い指摘です。
今回は、このコロナ不況の仕組みについて、簡単に解説していきたいと思います。
コロナ不況とは?
まず、新型コロナウイルスの拡大により、インバウンド効果(外国人需要)が激減しました。
私の住んでいる大阪でも、多くの中国人が消えていきました。
感染拡大を防ぐため、国内需要も減少しています。
このため、旅行店や飲食店、各種イベント施設などは、直接的なダメージを受けました。
すでに倒産しているお店も存在しており、残念ながら、今後も多くのお店が倒産するでしょう。
これにより、2次的な被害が発生します。
学校給食がなくなったことや、飲食店からの注文がなくなったことで、農家などの生産者も、間接的な打撃を受けることになります。
消費者(ヒト)に、直接、モノ・サービスを提供するBtoCの会社も、需要が減ることで、利益を出せない状況となります。
そうなってくると、そのBtoCの会社にモノ・サービスを提供するBtoBの会社も利益を出すことができなくなります。
BtoBの会社は、総じて、大企業が多いです。
このため、大企業から中小・零細企業まで、みんな揃って不景気になっていくのです。
これが、現在のコロナ不況の状態です。
お金はどこに消えたのか?
コロナ不況。
このことにより、困っている人はたくさんいても、喜んでいる人はあまり見かけません。
みんなが損をしているように見えます。
普通は、損をしている人がいれば、得をしている人もいるはずです。
では、今回のコロナ不況で得をした人は誰なのでしょうか?
そして、消えた需要(お金)は一体どこへいったのでしょうか?
実は、不景気というのは、
「誰かがお金を奪っている」
のではありません。
不景気とは、
「お金の動きがなくなってしまう」
ことを指しているのです。
このことをまず押さえておきましょう。
今回のコロナ不況も同様です。
世界中の流通は同時に止まっています。
しかし、コロナ不況は、普通の不景気とは少し意味合いが異なっています。
非常に悪質な不景気なのです。
普通の不景気では、労働者は、またすぐに復帰して働くことができます。
国や投資家が、工場に設備投資のお金を融資したり、国民にお金を給付すれば、労働者は働くことでお金を稼ぎ、お金の循環は好転していきます。
しかし、コロナ不況はこのような動きにはなりません。
お金があったところで、集団感染を防ぐため、工場を再開することができません。
工場が再開しなければ、商品を出荷することができず、お金の流れも止まったままになります。
多くのお金を持っていると言われている、おじいちゃん・おばあちゃんについては、お金を使いたくても、コロナ感染防止のため、外出してはいけない状況になっています。
富裕層も同様です。
多くの投資家は、株式市場の大暴落により、換金できない塩漬け状態となっています。
ようは、ヒトの動きを止めているため、お金の流れを動かすことができない状態になっているのです。
この点においては、普通の不況の最大級のものであったリーマン・ショックよりも深刻な状況に陥っているのです。
コロナ不況を人間の体に例えると…
今回のコロナ不況を人間の体に例えてみましょう。
社会全体に、お金が流れているように、人間の体には、血液が流れています。
お金の流れが止まると、社会全体の活動が止まるのと同様、血液の流れが止まってしまうと、人間も死んでしまいます。
人間の体で、血流が止まりそうになったら、どうするでしょうか。
その場合、全身の血液の流れをよくするために、心臓マッサージをしますよね。
これが、社会全体でいうところの、経済・景気対策(お金のバラマキ)に対応しています。
全身で悪くなってしまった血液の流れを、無理やり動かそうとしている点においては、心臓マッサージと経済・景気対策は、よく似ています。
ただ、私には、日本政府や財務省は、この心臓マッサージのことだけを考えているように見えます。
今回のコロナ不況は、心臓マッサージだけでは回復しない点が特徴的なのです。
心臓は元気に動かせたとしても、細胞や毛細血管は自由に活動できないという制約があるからです。(細胞や毛細血管を中小・零細企業・ヒトに例えています。)
日本政府や財務省がやろうとしている「景気対策」だけでなく、感染拡大を防止するという意味での「細部のケア」が必要となってくるのです。
通常であれば、心臓から血液が流れてきたら、細胞や毛細血管は元気に血液を流し始めます。
しかし、コロナ不況では、細胞や毛細血管は
”動いてはいけない”
もしくは
”動くことができない”
状況になっているのです。
細胞や毛細血管は、下手に動いてしまうと、感染してしまうため、壊死してしまうイメージです。
つまり、心臓ポンプから勢いよく血液を全身に送り出そうとしても、細胞や毛細血管までは行き届かない構造になっているのです。
一度壊死した細胞や毛細血管は、心臓の動きがよくなっても、復活することができません。(後遺症が残ります。)
このため、細胞や毛細血管、つまり、中小・零細企業・ヒトに、きめ細やかなケアをしていくことが重要なのです。
これが、中小・零細企業の倒産防止を防ぐ給付金や融資金に当たります。
経済・景気対策と、これらの細やかなケアは別物なのです。
これらを両立させることが必要なので、コロナ対策は非常に難易度が高いのです。
心臓だけを見て、経済・景気対策しか見えていない日本政府に、コロナ不況を解決できるはずがありません。
細胞や毛細血管を管轄する部位(手とか足とか)に、ある程度、管理を任せることも重要なのです。
ようは、地方自治体(知事)に、ある程度、権限やお金を移譲することが重要だということです。
今回のコロナ不況では、感染者や死亡者など、多数でています。
単なる出来事では済まされない、戦争レベルの大災害だと言えるでしょう。
しかし、心を鬼にして、中長期的・歴史的な視点(教科書に掲載されるレベル)に立ってみると、コロナ不況も、ひとつの時代だと捉えることもできます。
コロナ不況により「社会構造の脆弱さ」が浮き彫りとなり、そこを指摘されたと捉えることも可能です。
たとえ、今回のコロナウイルスが収束したとしても、今後、また新しいウイルスが流行するかもしれません。
我々は、平和ボケにひたっていたのかもしれません。
今回のコロナ災害は、
”こういった未知の疫病に対しても、対抗・対処できるだけの柔軟な社会の仕組みを準備・構築しておかなければならない(個人レベルでも)”
という、歴史の神様からのご提言なのかもしれません。