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うつ病になる前に!「逃げ場」の重要性…会社・社畜生活に疲れた人へ…

生き方・働き方

私はフリーランスのコンサルタントで、現在、週3日だけ働くセミリタイア生活をしています。

こうなったきっかけは、最近問題となっているうつ病適応障害でした。

このときの体験をまとめたものを、私は、2017年に電子書籍

「”逃げ場”を創って楽になろう!」

として出版しました。

しかし、2022年7月時点において、Amazonで購入することはできなくなっています。

そこそこ販売実績もあったんですが、情報の鮮度の件もあり、2020年に販売を一時停止としたためです。

今回は、この絶版となった私の著書に関して、使えそうな情報だけアップデートし、考え方を要約したものを紹介したいと思います。

うつ病、適応障害に悩まされている方々には是非、お付き合いいただければと思います。

サラリーマンの過酷な環境

思い出したくない東京での出来事

ある秋の朝、私は東京駅の新大阪行き新幹線ホームにいました。

疲れ果てた顔に、しわしわのスーツ。

目もうつろ。

空は晴れていましたが、私の心は完全に曇っていました。

私の自宅は大阪にあります。

しかし、コンサルティングという仕事の特性上、東京のクライアント先に出向くことがとても多いのです。

年間の8割近くは出張先で過ごしていました。

長引く東京出張。

思ったように進まないクライアント先でのプロジェクト。

私の中には、見えない何かが蓄積されていったのでしょうか。

 

1週間前…

仕事で疲れ果てていた私は、朝、銀座の喫茶店でコーヒーを飲んでいました。

朝の喫茶店での時間は、つらい出張生活の中、私にとっては、唯一のやすらぎの時間となっていました。

朝の時間は、誰にも干渉されることがありませんでした。

・趣味の読書
・今日の仕事の段取り

私にとって、朝の時間は、頭の中を整理するための、貴重な時間でもありました。

にもかかわらず、この日は、少しおかしな空気が流れていました。

読書中、文章を目で追いかけることはできても、内容が全く頭に入ってこないのです。

焦った私は、新聞のテレビ欄やスポーツ欄に目を通しました。

何が書かれているのか理解できない…。

難しい内容でもないのに、なぜ…。

明らかに違和感はありましたが、私は気にすることなく、仕事に出向きました。

そして、打ち合わせ。

立場上、私は進行役を担当することが多いです。

打ち合わせの議題を決めて、課題や決定事項を整理していく重要な役割です。

ただ、朝の違和感が現実となりました。

打ち合わせの内容を全く理解できないのです。

打ち合わせの内容は、昨日まで、私が考えて、このようにしようと提案したものだったはず…。

一番理解しているはずの私がなぜ…。

おまけに、打ち合わせに出席している人の発言についても、ほとんど理解できない状況。

この人たちは一体、何を話しているのだろう。

私は、熱もないのに、目も頭もまわってきているような気がしていました。

このため、私は、進行役を一時的にメンバーに任せ、クライアント先を後にしたのです。

どの電車に乗ったのか、私は覚えていません。

ただ、気がついたら、銀座の心療内科にいました。

アンケートをいくつか記入した後、問診。

「明確なうつ病ですね。」

ストレスのかかる仕事という認識は持っていましたが、まさか自分がうつ病になるとは…

思ってもいませんでした。

「どうやったら治りますか?」

「まずは、薬で、今の精神状態を落ち着かせます。当面、仕事は休んだほうがいいでしょう。」

私は、診断結果をプロジェクトメンバーや関係者に伝え、休暇をもらうことにしました。

すべての仕事を投げ出した形になりました。

このため、何の罪もない残されたプロジェクトメンバーには、感謝の気持ちでいっぱいです。

しかし、当時は、そのようなことを考える精神状態ではありませんでした。

とりあえず、ゆったりと過ごしたいという他はありませんでした。

薬の効果もあり、ぼーっと過ごすことが多くなりました。

今までは、あれだけ懸命に仕事をしていたのに…

世の中のすべてのことが、別にどうなってもいいような感じがしていました。

私は、周囲の理解もあって、大阪で一時療養することになりました。

そして、東京駅の新大阪行き新幹線ホーム。

私は、もう当分の間は、東京に戻ってくることはないだろうと予感していました。

そして、その予感は的中し、私は長い長い療養生活に突入することになるのです。

増加する精神疾患

厚生労働省の調査によると、日本のうつ病の患者数は、増加傾向にあることが分かっています。

うつ病の患者数は、

・1996年は40万人
・2005年は90万人
・2011年は95万人
・2014年は111万人
・2017年は127万人

となっています。

患者数でみると、ここ20年で3倍以上も、増えていることになります。

これは医療機関を受診した人の統計なので、受診をためらっている人や気づいていない人も含めると、さらに多くの人が、うつ病に悩まされていると言われています。

また、うつ病をはじめとする精神疾患は、自殺の原因として社会問題にもなっています。

年間3万人とも言われる自殺者の75%に精神疾患があり、その46%はうつ病であるという調査結果もでているのです。

さらに、最近は、中高年の自殺が急増していると言われています。

その背景には、長時間労働やストレス、パワハラなどが原因でうつ病になるケースが多いことが挙げられます。

いわゆる過労自殺というものです。

このため、ガン、脳卒中、心臓病、糖尿病の4大疾病に、精神疾患が加わることになり、5大疾病と言われるようになりました。

このように、うつ病は、誰も無視できない社会問題となってきているのです。

このことをまず受け止めることが重要なのかもしれません。

うつ病など、自分は関係ないと言う思考そのものが、私のように、突然の発症を招くことにもなりかねないのです。

うつ病は、とてもこわい病気です。

うつ病は、精神を犯すだけでなく、長期間、肉体的にも経済的にもダメージを与えていくものだ…

ということを、肝に命じなければなりません。

本記事を作成するにあたって

このように、うつ病をはじめとする精神疾患は、サラリーマン生活とは無縁のものではなくなってきています。

私も、このような話題は、ニュースでは聞いていましたが、まさか自分に降りかかってくるものだとは思ってもいませんでした。

しかも、突然…。

そして、今になって言えることがひとつあります。

それは、自分がこのような状況になる前に、もっと予防や対策をしておけばよかったということです。

うつ病になった後、どのように治療していくのか。

何が効果的なのか。

経済的にはどうなるのか。

会社生活はどうなるのか。

もっといろいろ知っておけばよかったということです。

あなたが子どもの頃、次のようなことを習いませんでしたか?

「何事も途中で投げ出してはいけない!」

しかし、今の私が自信をもって言えるのは、

「手遅れになる前に、”逃げ場”を創って逃げ出せ!」

ということです。

私は、無知であったため、さまざまな失敗をしてしまいました。

子どもの頃に習ったことを、中高年になっても忠実に遵守していると、下手すれば大変なことになります。

あなたはもう、子どもではないのです。

もう若くもありません。

うつ病の本は多数出版されていますが、「逃げ場」として、それを支援する本はあまりなかったので、私自身が記事を書くことにしました。

そして、私自身の体験談をもとに、この「逃げ場」をマニュアルとしてまとめたのが本記事となります。

決して、うつ病の治療の本ではないことに留意していただきたいと思います。

「逃げ場」は大きく分けて、次の4つのカテゴリーに分けることができます。

①「病気」の逃げ場
②「仕事」の逃げ場
③「お金」の逃げ場
④「心」の逃げ場

①は、病気を治すために、まずどこへ駆け込めばいいのかを示しています。

該当する人は、手遅れになる前に、ぜひとも、早期に現状から逃げ出してほしいと思います。

②は、仕事や会社に関して、どのように考えていけばいいのかを示しています。

うつ病になったからといって、会社をすぐに辞める必要はありませんが、他にも逃げ場がいくつかあることも理解してほしいです。

③は、病気になったときの、経済的な逃げ場であるセーフティネットに関するものです。

うつ病は完治するのに時間がかかります。

経済的なセーフティネットをきちっと理解しておかないと、悲惨な目にあうリスクもあります。

④は、心のケアです。

私の実体験をもとに、効果的な療養生活を過ごすための方法を記載しています。

同じような状況で苦しんでいる中高年サラリーマンに、安心感を与えるために、これらの「逃げ場」を紹介していきたいと思います。

ぜひ、重度のうつ病になる前に、知っておいてほしいと思います。

①病気の「逃げ場」

うつ病になったらまず休もう(有給休暇)

うつ病になったら、仕事のことは一旦すべて忘れて、ゆっくりと休むのがいいです。

今日明日を休むことで、治るものではありませんが、休むことは、うつ病にとって、最大の薬となります。

まず、あなたには、有給休暇が残っているかどうかが重要になってきます。

私は、仕事中、ほとんど休みをとっていなかったので、有給休暇が40日近くも貯まっていました。

本来、休暇は家族サービスや娯楽のために使うものです。

このため、療養に使うと、もったいない気もしていましたが、うつ病になってしまった以上、仕方がありません。

うつ病も軽度であれば、この有給休暇の期間を利用して、復職するケースも多々あります。

この場合は、心療内科の先生の指示に従い、復職した後の自分の仕事を、会社に確認・調整する必要があるでしょう。

ただし、無理に復職してはいけません。

なぜなら、うつ病には再発する危険性もあるからです。

次のようなデータがあります。

今までにうつ病に1回なった人が再発する率は50%
今までにうつ病に2回なった人が再発する率は75%
今までにうつ病に3回なった人が再発する率は90%

恐ろしいデータです。

いずれにしても、有給休暇の日数はきちんと把握しておきましょう。

会社の就業規則をきちんと確認しよう(病気休暇)

有給休暇を使い切ったら、あとは何があるのでしょうか。

それは、会社によって異なるので、私にも分かりません。

ただ、あなたの会社にも、就業規則は確実にあると思います。

その就業規則に、目を通してみましょう。

病気になったときのルールが書いてあるはずです。

例えば、よくあるのが「病気休暇」です。

「病気休暇」とは、有給休暇とは別に、病気になった場合は、何日か休暇をとれるというものです。

勤続年数や役職によって、違いはありますが、私の場合はこれで数ヶ月間、休むことができました。

ただし、病気休暇は、文字通り、病気のための休暇なので、医師の診断書を会社に提出する必要があります。(当然ですよね。)

ちなみに、この病気休暇中も、給料はもらえるケースが多いと思われます。

心配ならば、就業規則を確認してみてください。

産業医に相談してみよう(産業医)

会社の規模にもよりますが、産業医は、会社との契約の下で、労働者の健康管理、就業制限や就業上の配慮に関する助言と指導、休職や復職の判断、労働衛生教育などを行っています。

端的に言うと、あなたが働けるか働けないかを判断してくれる医師が産業医となります。

よって、産業医は疾病の診断や治療は行いません。

診断や治療は、外部の心療内科の医師に委ねることになるでしょう。

この産業医は、職場に関する話を聞いてくれるので、なんでも相談してみるとよいでしょう。

心療内科に行ってみよう(心療内科)

最近、どこも混んでいる心療内科。

うつ病などの精神疾患が増えてきている以上、心療内科の先生もとても忙しいようです。

心療内科の先生は、病気や薬だけでなく、復職や生活全般の相談にものってくれます。

最終的に復職へのGOサインを出してくれるのも、傷病手当金受給のための診断書を書いてくれるのも、心療内科の医師の仕事になります。

この人と馬が合わないと悲惨な目にあいます。

眠れない時、気分が悪い時、ストレスを感じた時、まずは、心療内科の先生に相談してみるとよいでしょう。

②仕事の「逃げ場」

会社に籍をおきつつ療養しよう(休職)

うつ病は治るまでに時間がかかります。

やはり、普通のサラリーマンが、まず不安に思うのは、仕事のことではないでしょうか。

有給休暇や病気休暇を使っても、まだ治らないこともあるでしょう。

まず、事前に確認しておく必要があるのは、やはり会社の就業規則です。

ここに、勤続年数や役職に応じて、休職期間が定められているはずです。

休職というのは、会社から給料はもらえないけど、会社に籍を置くことのできる期間のことを指しています。

休職期間中に、うつ病が治った場合は、もとの会社に復職することが可能となります。

しかし、休職期間を過ぎると、会社員の身分がなくなり、無職となります。

会社から見ると、休職期間中も、あなたの社会保険料の支払いを半分、負担することになるため、永久にあなたの面倒をみることはできないのです。

休職期間は、通常、数ヶ月が与えられるので、この期間に療養し、復職や転職をするケースが多いようです。

環境を変えるために転職しよう(転職)

仕事でうつ病になるということは、あなたが属している環境に問題があることが多いです。

つまり、あなたが会社から離れることが、一番の良薬になる可能性が高いです。

ここに中高年サラリーマンの葛藤がでてきます。

自分には家族がいる。

住宅ローンもある。

年齢的にも就職活動は厳しい。

環境を変えることがいいのは、理解していても、現実的に、簡単にはいかないのです。

うつ病は再発率が高いです。

同じ環境に戻ると、再発するケースも多々見受けられます。

再発した場合は、精神疾患が慢性化し、結果として、同じ選択を迫られることになるリスクもあります。

つまり、根本解決したことにはなりません。

こうなった場合、勇気を出して、転職することも視野に入れなければなりません。

休職期間中は、このことを、ゆっくりと考えればいいと思います。

退職の決断をすることはまだ先でいいのです。

休職期間が終わる頃に、自分の心と家族と会社に相談して決めればいいのです。

後に述べるが、傷病手当金を受給した後は、失業手当をもらうことも可能です。

就職するのに、時間は与えられているので、焦らず、今の自分に一番合っている道を選択するべきだと思います。

退職して会社に出戻る道を考えてみよう(再就職)

就職先が見つからない、もしくは、採用される見通しが立たない場合、自分の会社に出戻るのもひとつの手です。

今、所属していた部門を変える、役割を変える等、そこには、あなたの知らない世界もあるはずです。

休職期限が終わる頃、会社と相談してみればいいと思います。

もし、あなたが会社から必要とされている人材であり、かつ、あなた自身が、そこに戻っても、なんとかやっていけるということであれば、自分の会社に戻るというのが、一番リスクの少ない方法になります。

このためには、会社を一時退職するときに、円満に退職する必要があります。

もちろん、療養が第一ですが、引き継ぎやメールのやりとりなどはきっちりと対応しておいたほうがよいでしょう。

転職先に困ったら起業しよう(起業)

就職先が見つからない、もしくは採用される見通しが立たない場合、出戻り再就職をすること以外に、もうひとつだけ方法があります。

それが「起業」となります。

何らかの事情で、自分の会社に出戻ることができない場合、再就職先もない場合、路頭に迷うことになります。

しかし、あなた自身の今までの経験を活かせる場面はどこかにあるはずです。

それは、営業スキルなのかもしれないし、ITスキルなのかもしれません。

あなた自身がそう思っていなくても、あなたには、プロジェクトマネジメントのスキルが備わっているのかもしれません。

今までの業務経験を棚卸し、起業を考えてみてはどうでしょうか。

簡単なことではないと思われるかもしれませんが、私はこの道を選択しました。

個人事業は、先行き、不安定かもしれない。

しかし、よく考えてみましょう。

転職活動が難しいのは、年齢的なものもあるが、精神疾患でブランクがあることも大きいです。

このブランクを埋めるためにも、たとえ数ヶ月でも起業して、自分で何らかの達成感を味わうことは、人生にとってプラスになるはずです。

起業が成功すれば、定年後も働ける可能性が高くなります。

定年後に起業するよりも、定年前、とりわけ40代から起業するほうが、成功する確率も高いとのデータもある。

もし、起業に失敗したとしても、またサラリーマンとしての就職先を探すことも可能です。

人生、選択肢は数多くあります。

自分で選択肢を狭めてしまうような制約を作ってはいけません。

③お金の「逃げ場」

病気になったら確実に受給しよう(傷病手当金)

病気になったときに、確実にもらえる手当金。

その代表が「傷病手当金」です。

傷病手当金は、健康保険の給付の一種で、被保険者が病気やケガで会社を休んだときに給付されるものをいいます。

次の3つを満たすと、支給開始日以前12ヶ月の標準報酬月額の3分の2が支給される。

支給要件
・療養のため、働くことができないこと(自宅療養でも^OK^)
・連続3日間会社を休んでいること
・給料が支払われないこと

傷病手当金は最長で1年6ヶ月の間、受給することが可能です。

また、傷病手当金は非課税扱いとなります。

例えば、1ヶ月の給料が30万円で、手取り収入が22万円の人であれば、傷病手当金は20万円となります。

この20万円は手取りとなるので、働いているときと比べて、若干、手取り収入が減るイメージをもてばいいです。

1年6ヶ月という期限付きではありますが、傷病手当金は、あなたにとって、頼もしい味方となってくれるでしょう。

しかし、私の経験上、最も気になったのが、傷病手当金支給のタイミングの問題です。

例えば、休職をして、4月がすべて無給だったと仮定しましょう。

この場合、傷病手当金はいつ支払われると思いますか?

私は給料日である月末にはもらえるものだと思っていました。

ところが、4月が終わって5月のはじめに、かかりつけの医師から傷病手当金用の診断書をもらう必要があるのです。

「4月は療養していました。」

ということを証明する診断書です。

当たり前ですが、4月分の診断書なので、5月にならないと医師は傷病手当金用の診断書を書いてくれません。

そして5月に必要書類を揃えて、健康保険組合に提出し、そこから審査プロセスに入っていくので、実際に傷病手当金が支払われるのは5月末になってしまいます。

つまり無給状態となってから、2ヶ月は傷病手当金をもらえないということになります。

診断書があれば、手当金をもらえるのは確実ですが、一時的に資金繰りが苦しくなるのは覚悟しておいたほうがよいでしょう。

あと、もうひとつ伝えておきたいことがあります。

通常、傷病手当金は最長で1年6ヶ月間、受給することができますが、健康保険組合によっては付加給付といって、1年6ヶ月以上の期間、傷病手当金をもらえることができる場合があります。

期間の延長は、経済的な影響が大きいので、自分の会社の属する健康保険組合に事前に確認しておいたほうがいいでしょう。

また、一般的に、傷病手当金を受給できる期間よりも、休職期間(会社に在籍しておきながら、給料をもらえない期間)のほうが短いです。

このため、休職期間の満了期限、満了した場合の身の振り方も、さまざまなオプションを考えておいた方が、安心して療養に専念できるでしょう。

あと、傷病手当金をもらった後は、障害年金をもらうというオプションもあります。

興味のある方はこちらの記事をご覧ください。

働けなくなったらもらおう(所得補償保険)

会社員の夫が亡くなったら、残された遺族には遺族年金や生命保険が支給されます。

ところが、最近、話題となっているのが、

「生きているけど、働くことができない状態になったとき」

に、どうするかということです。

生きているので、遺族年金や生命保険はもらえないし、かといって今までのように働けないので、会社で給料もボーナスももらえません。

ここで活躍する

「所得補償保険」

とは、文字通り「補償」であり、収入が途絶えてしまった時に収入を担保してくれるものになります。

生命保険ではなく損害保険の領域の商品になります。

生きていながら、働くことができない場合に威力を発揮することになります。

所得補償があれば、所得の減少分をカバーしてくれるため、安心して治療等に専念することができると思います。

オプションの内容にもよりますが、傷病手当金受給中は、標準報酬月額と傷病手当金の差額(つまり標準報酬月額の3分の1)の何割かが補償金として支払われます。

最近は生命保険よりもこの所得補償保険のほうが脚光をあびてきているような気がします。

このため、会社で団体として、所得補償保険に加入するケースも増えてきています。

この点は会社に確認してみるとよいでしょう。

会社で加入していない場合は、個人でも所得補償保険に加入することが可能です。

保険料は、やや割高ですが、自分に合った保険を探してみるといいと思います。

病院代を安くしてもらおう(自立支援医療)

うつ病、適応障害等の精神疾患にかかると、医療費が意外とかかることは、あまり知られていません。

医師の診断書代も含めると、その出費額はかなりのものとなります。

そこで、いくつか工夫が必要となるわけですが、その中のひとつが

「自立支援医療」

と呼ばれるものになります。

「自立支援医療」とは、公費負担医療のひとつで、簡単に言えば、下記の精神疾患を患った場合、患者の3割負担を1割負担にする制度である。

対象となるのは全ての精神疾患で、次のようなものが含まれます。

・統合失調症
・うつ病、躁うつ病などの気分障害
・不安障害
・アルコール、薬物などの精神作用物質による急性中毒又はその依存症
・知的障害
・強迫性人格障害など「精神病質」
・てんかん

1割負担も過大なものにならないよう、1ヶ月あたりの負担には、世帯の所得に応じて上限が設けられているのです。

自治体の診断書フォーマットを病院に提出し、医者に診断書を書いてもらい、再度、自治体に提出するだけでOKです。

2ヶ月ほど待てば、3割負担が1割負担に変わり、提出日からの診療代のうち2割分は還付されることになります。

このため、なるべく早めに申請することが重要となります。

ただし、この制度は1年更新となっています。

しかも、該当する特定の医療機関でないと使用することができないことに注意しましょう。

特定の病院で、うつ病の治療にかかる費用は1割負担であっても、腹痛や鼻炎など、他病院での受診となると、通常通りの3割負担となるのです。

上記の病気に該当する人にとっては、診断書代・診療代・薬代が、結構かかるため、一考に値する制度となっています。

プライベートカンパニーで2足のわらじを履こう(副業と節税)

プライベートカンパニー。

耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

プライベートカンパニーとは、個人名義で所有する「資産保有会社」のことを指しています。

不動産投資などの副業をもつことで、手元にお金を残していく、究極の資産形成方法となります。

自分が勤めている会社の他に、このプライベートカンパニーを持っていれば、うつ病などで長期療養を余儀なくされた時に、精神的支柱となってくれることになります。

私は、うつ病になったときに、プライベートカンパニーを保有していました。

会社の収入とは別に、不動産収入というプライベートな収入を確保できていたのです。

このため、何かあっても、収入はゼロにならないという、ほのかな安心感がありました。

では、プライベートカンパニーとは一体どういったものなのか、見ていきましょう。

プライベートカンパニーとは、オーナーやその家族といった少数のメンバーによって会社が所有されている状況のことを指しています。

サラリーマンが、会社の給料以外で収入を得る母体のことを指しており、簡単に言えば「副業」のようなものです。

プライベートカンパニーは、サラリーマンを続けながらでも、設立は可能となります。

実際、私もそうでした。

形態はなんでも大丈夫です。

株式会社でも、合同会社でも、妻を社長にしてもOKです。

青色申告でも白色申告でも構いません。

プライベートカンパニーには、可処分所得(税金や社会保険料を差し引いた手取額)を増やす効果があります。

一般的な話として、サラリーマンは給料が増えると、それに伴って、税金や社会保険料の負担が重くなっていきます。

このため、給料が上がっても、手取額は思っていたように増えていきません。

そこで、サラリーマンを続けながら、プライベートカンパニーを設立して、不動産投資をしたり、ネットビジネスなどの小規模な事業を立ち上げたりするのです。

すると、給与収入だけでなく、事業収入を生み出すことができ、複数の収入源を得ることが可能となるのです。

事業支出は、経費として計上し、所得を平準化することで、家計全体としての課税所得を引き下げる効果があります。

まずは、利用できる控除(扶養控除、生命保険料控除など)を使い切った上で、プライベートカンパニーを作って事業を立ち上げます。

すると、経費が増えることになり、結果として、あなたの課税所得を小さくすることができます。

その結果、手取り収入を増やしていくことが可能になります。

現実的な線として、プライベートカンパニーで行う事業については、本業の空いた時間で行う必要があります。

極力、労働力を伴わないもの、例えば、不動産投資やアフィリエイトなどがいいと思われます。

間違っても、コンビニでのアルバイトや、力仕事をプライベートカンパニーにしては苦しくなると思います。

あくまで、ベースは本業であり、副業で労働をしていては、体がもたなくなる可能性が高いためです。

この点はよく考えてみてください。

うつ病になると、いろいろと不安になることが多いと思います。

特に、経済的な不安は誰でも直面することになります。

傷病手当金に加えて、プライベートカンパニー。

稼ぐ手段を複数保有することで、精神的な安心感を得る効果があります。

普段から、副業など、会社以外でも稼ぐ力を身につけておくことが重要だということがわかると思います。

興味のある方はこちらの記事をご覧ください。

会社員の特権を活かそう(信用)

休職期間が終わる頃、会社員という身分がなくなる可能性があることも考えておく必要があります。

会社員というのは、身分として、非常に恵まれています。

何と言っても、社会的信用がある点が大きいです。

無職になったり、就職先が変わると、まず、ローンを組むことができなくなります。

もし、あなたが、大きな買い物をする予定があるのなら、会社員の身分のあるうちに、購入に踏み切ったほうがいいでしょう。

そうしなければ、向こう4~5年はローンを組んで購入することが難しくなります。

車や投資用不動産のローンであれば、これでいいですが、マイホームの場合は、さらに注意が必要となります。

なぜなら、住宅ローンを組むときに、

団体信用生命保険(団信)

という保険に加入する必要があるからです。

団体信用生命保険は、

「あなたが死んだら、住宅ローンをゼロにしますよ。」

という保険になります。

しかし、精神疾患だと、この保険に加入することが難しくなります。

もし、あなたが、団体信用生命保険を扱う保険の担当者だったとしましょう。

このとき、うつ病で休職している人に、35年の長期にわたるローンを設定しますか?

その人が35年間、ローンを返済し続けることができると思いますか?

普通はそのように思わないでしょう。

元気な人でも35年間、元気で働き続けるかどうかは不確実な時代になってきています。

精神疾患の人は、保険の加入が難しいのです。

生命保険や損害保険も同様です。

精神疾患の場合は、加入が難しいので、精神疾患も加入ができるものを選択して加入することになります。

通常は、加入できたとしても、高めの保険料を支払うことになるでしょう。

あなたが、すでに、住宅ローンを組んでいて、返済中なのであれば、特に心配することはありませんが、金利が高くて、借り換えを考えているのであれば、これも、この時期に借り換えをすることは厳しいでしょう。

また、クレジットカードは、休職期間中に作成しておいたほうがいいです。

会社員の身分がなくなった時点で、カードを作ることは厳しくなることが予想されるからです。

あと、引っ越しを考えているのであれば、これも会社員の身分のあるうちにしておいたほうがよいでしょう。

賃貸物件を契約する時点で、無職だと厳しいからでです。

このように、会社員である信用・特権を活かせるものは、休職期間中にやっておくことが重要です。

④心の「逃げ場」

太陽の光を浴びてリラックスしよう(日光浴)

朝起きて、太陽の光を浴びること。

これは、うつ病の人にとって、かなり重要なことのようです。

うつ病でない人も、太陽の光を浴びることで、うつ病を防止することができるとも言われています。

「セロトニン」という物質を聞いたことがありますか?

セロトニンは、ノンアドレナリンやドーパミンと並んで、体内で重要な役割を果たしている三大神経伝達物質のひとつとなります。

セロトニンは、人間の精神面に大きな影響を与え、心身の安定や心の安らぎに関与することから「幸せホルモン」とも呼ばれています。

このセロトニンが不足すると、うつ病や不眠症などの精神疾患に陥りやすいと言われています。

太陽の光を浴びることは、このセロトニンを増やす効果があります。

また、太陽の光を浴びることで、体内時計を正しく補正することも可能となります。

私も、うつ病になったとき、医師に言われて、意識的に太陽の光を浴びるようにしていました。

すると、なんとなく読書がしやすい気分になったものです。

さすが、神経伝達物質といった印象を受けました。

改めて、日光浴は重要だと認識しました。

軽く運動をして睡眠をしっかりとろう(規則正しい生活)

私は、うつ病になった当初、ほとんど睡眠がとれない状況になっていました。

いわゆる不眠症です。

心療内科の先生から処方された薬を飲み続けるうちに、ようやく眠れるようになってきました。

しかし、不安定な日々は続きました。

夜は眠れるが、深夜に覚醒し、活動的になるのです。

最初は再び眠ろうとしたが、そのまま3-4時間、眠れないことが多かったので、次第に眠らないようになっていきました。

そして、日光浴をした後、昼間に眠たくなるのです。

このような、不安定な日々は長く続きました。

そこで、日光浴のあと、少し散歩することを試みました。

最初は、家の周りをぶらぶらする程度であったが、次第に距離を伸ばしていきました。

するとどうでしょう。

晩にふとんに入ると、そのまま朝まで眠れるようになってきたのです。

もちろん、薬の影響もあったのかもしれません。

しかし、私にとっては、画期的なことでした。

うつ病になった当初は、食欲もほとんどありませんでしたが、次第に食欲も復活してきました。

食事、運動、日光浴。

当たり前のような、規則正しい、ゆったりとした生活が、うつ病から私の身を守っていくれるようになってきたのです。

趣味を作ろう(趣味)

あなたには、趣味がありますか?

仕事以外に、何かに夢中になれる趣味があると、気分転換ができるのでうつ病にも効果的だと言われています。

私の知人でも、うつ病になった人が何人かいましたが、趣味のある人は、みんな早期のうちに、復職を果たすことができました。

歌をうたったり、山に登ったり、絵を描いたり…。

運動や散歩、子供たちと遊ぶことを趣味にしてもよいでしょう。

趣味があるのとないのとでは、生活のリズムもメリハリも違ってくると思います。

私は、温泉が好きなので、よく行ったものです。

趣味の中身は問いませんが、仕事やストレスのことを忘れさせてくれるようなものであれば、なんでもいいのではないかと思います。

趣味を持って、楽しく過ごしていきましょう。

気の許せる友人と時間を過ごそう(友人)

あなたには、気の許せる友人がいますか?

若い頃は、親友や彼女をはじめ、友達もたくさんいたかもしれません。

しかし、歳をとり、中高年になったあなたは、その友達と連絡を取り合っているでしょうか?

少なくとも、私の周りでは、中高年になるほど、会社関連の人以外とは疎遠になりがちであるように見えます。

うつ病になると、人と話す機会が極端に減ることになります。

下手すれば、部屋にずっとこもって、誰とも話さない一日もあるかもしれません。

うつ病になったことはもう取り返せませんが、これをいい機会だと捉えてみてはどうでしょうか。

古くからの友人に連絡をとってみたり、普段、会話をしない人と話をしてみると、昔の楽しかったことを思い出したり、何か新しい気づきがあったりして、プラスの効果をもたらしてくれる可能性もあります。

実際、私もそうでした。

時間をとって資格をとろう(自己啓発)

うつ病になったら、まずは有給休暇もしくは病気休暇でまずは休むということは前述しました。

しかし、休職期間中になれば、少しずつ回復し、復職に向けて活動したくなるときもあると思います。

そんな時に、注意しないといけないのが、リハビリ出勤になります。

リハビリ出勤とは、週に1-2回の出社、もしくは午前中だけの出社といったように、条件付きで少しずつ出社することです。

その名の通り、リハビリなので、給料も支給されなければ、交通費も支給されません。

うっかり、給料をもらってしまうと、傷病手当金などの給付金がストップしてしまうリスクもあります。

生活資金も厳しい状況が続くため、アルバイトでもしたいところだが、これもやってはいけません。

傷病手当金の受給目的が「療養」である以上、たとえ、生活費を稼ぐ場合でも、労働をしてはいけないのです。

では、休職期間中、復職に向けて、どのような活動をすればいいのでしょうか?

私は考えた末、資格取得のために、勉強することにしました。

これなら、療養中にも可能であり、お金もさほどかかりません。

次の就職先に関係する資格でも、英語の習得でも、会計の勉強でも、なんでもいいと思います。

時間はあるのですから、腰を落ち着けて勉強をしてみるといいのではないでしょうか。

そうしているうちに、うつ病の暗い気分から、試験モードに切り替わっていきます。

元気になっていくかもしれません。

資格を取得すれば、次の就職先や起業にも役立つかもしれません。

資格取得は、プラス志向に転じる可能性が高いのです。

まとめ

うつ病には、さまざまな「逃げ場」があることを見てきました。

人生、時間は限られています。

仕事や勉強など、がんばるということ自体、否定はしませんが、何も、うつ病になるまで、がんばる必要は全くありません。

ストレスを感じ取るのは自分です。

周囲が与えていなくても、本人がストレスだと感じたら、それは立派なストレスなのです。

あまり美しい言葉ではないのかもしれませんが、

「手遅れになる前に、堂々と逃げましょう!」

そして、周囲になるべく迷惑をかけないように、事前に、きちんと

「逃げ場」

を創っておきましょう。

「逃げ場」を創って、気楽に、適当に、生きていく。

これが、人生100年時代において、細く長く乗り切っていくための秘訣なのかもしれません。

私はうつ病の経験者です。

フリーランスとなった現在も時々、適応障害やパニック障害に悩まされています。

何らかのご縁で、この記事を読んでくれているあなた。

そのあなたが、幸せの第一歩を踏み出すきっかけとなってくれることを切に願っています。

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Posted by かずきび